21世紀を迎えたことは、かつて20世紀に夢見ていたような「未来の世界」が訪れないことを同時に物語っていました。チューブの道路がはりめぐらされた都市も、空中に浮いて高速で走る自動車も、仕事も授業も自宅で済ませることができる社会も、マンガや絵本のページに閉ざされたままです。21世紀を迎えた我々の目の前にあるのは、ただただ平坦な20世紀の延長の日々。それはそれで当然のことなのですが、実際に「未来」へと足を踏み入れてしまうことは、ある種の夢の喪失をも意味していました。
そんな21世紀最初の年、2001年。年明け気分も抜け始めた頃に、ある奇妙な情報が広まりはじめました。その名は「IT(イット)」、開発コードネーム「Ginger(ジンジャー)」。インターネットやパソコンを超えるとも噂された謎の発明品・ジンジャーは、やがて奇妙なイラストがジンジャーだとして流れはじめ、「宙に浮く移動装置」をはじめ様々な説が異様なテンションで飛び交うことになります。その勢いは、さながら人々の忘れかけていた未来への期待感が刺激されているかのようでした。
そんな噂に拍車をかけたのは、発明者のディーン・カーメン氏がthe 2000 National Medal of Technologyを受賞してクリントン大統領に会うなど、変わり者のようではあるもののペテン師とは思えない実績の持ち主である事実です。偉大な発明だと称されながらもすべては謎のままであり、そしてそこに混ざり込む微かなリアリティーと期待感。憶測が渦巻くための準備は整っていたのです。
1月の初めにジンジャーの話題を耳にした時、僕は「これはとても革新的かつ実用的な素晴らしい発明か、とてもくだらなくて馬鹿ばかしい発明かの、どちらかでしかありえない」と直感しました。いいじゃないですか、たとえどんなに馬鹿馬鹿しい発明品であったとしても。そして、もし本当に革新的かつ実用的な素晴らしい発明であったとしたら、それに越したことはありません。
大切なのは、ジンジャーという発明品の持つ「未来」っぽさに興味を持って空想を膨らませられる余裕が自分にあるかということ。「Ginger Japan」は、そんな余裕のある皆さんに最新のジンジャー情報を提供すべく活動していきます。
この「Ginger Japan」を、ディーン・カーメン氏に捧げます。
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地球外生命体へのメッセージを載せたパイオニア10号が打ち上げられた年に東京で誕生。好きなのものは常時接続、CD・本・マンガのバカ買い、ちょっとだけ現実をすりかえてみること。
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